【祝 新病院完成 新たなステージへ】地域医療機能推進機構 中京病院(週刊新病院26年1月14日、21日掲載)

PDFをダウンロード

❍JCHO最大の中京病院(2-1)、新棟東館が竣工、26年1月稼働開始
❍救命救急センター・手術部門・400病床を導入

 独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)最大の580床を誇る中京病院(名古屋市南区三条1-1-10、☎ 052-691-7151)では、2026年1月1日から稼働した新棟東館の竣工式および内覧会を25年12月18日に開催した。

新棟東館(北東側)

新棟東館(南東側)


 JCHO理事長の山本修一氏は、中京病院は地域の基幹病院、災害時の医療、救急医療において重要な役割を果たしており、新棟東館整備はより安心、安全な医療を提供するための大きな一歩と考えている。病院が果たすべき使命というのは、最新設備を整えるだけではなく、地域住民の皆さんにとってこの病院に来れば大丈夫だ、安心だと思っていただくこと、信頼を築き上げることが重要である。また、医療は人の力で支えられるものである。この新しい建物を舞台に医師、看護師をはじめとする病院スタッフが一丸となって、患者さん一人ひとりに寄り添う医療を実践していただけることを強く期待している。中京病院が今後もこの地域医療の中核として発展を遂げられるように全力で支援をしてまいりたいと考えている。昨今、我が国の病院経営は大変厳しい状況に置かれており、中京病院も例外ではない。本日を新たな出発点として中京病院がさらに飛躍し、そして地域の皆さんの安心を支える拠点となることを祈念すると挨拶した。

後藤百万院長

テープカット

 式典は来賓挨拶に続き、副院長の加田賢治氏による新棟東館の概要説明、院長後藤百万氏による挨拶、テープカットへと進んだ。後藤氏は、当院は名古屋市南部および知多半島を含む医療圏において地域住民の皆様のニーズに応え、患者さんに寄り添う医療、安心で質の高い医療、専門性の高い医療を提供して評価を高めてまいりました。新棟東館整備とともに救命救急医療、がん診療、急性期疾患診療、災害医療の機能を強化し、明るく広々とした快適な療養環境を整備いたします。また、心のこもった質の高い医療を提供できるよう、職員一人ひとりがプロフェッショナルとしての技術を磨き、中京病院を進化させるべく頑張ってまいります。地域の医療、介護、福祉機関と密接に連携して、地域の皆さんの生活を支えるような病院でありたいと述べた。
 中京病院は、1978年に熱傷センターを開設、これまでの熱傷の診察・治療を受けた患者は全国最多である。また、救命救急センター、災害拠点病院、DPC対象病院(特定病院群)、地域がん診療連携拠点病院、がんゲノム医療連携病院としての機能を担い、標榜科は30診療科、許可病床580床で、このうち新棟東館(以下東館)には400床(うちICU23床〈うち小児用6床〉、救命救急28床)、残る180床を本館に配置している。24年の1日平均患者数は外来1057人、入院441人。

❍機能集約・災害時対応・がん医療充実・アメニティ向上
 東館の整備方針として、①機能集約による運営の効率化と連携強化、②大災害時に機能を維持できるBCP病院、③がん診療機能・地域支援機能充実、④患者に快適でスタッフが働きやすい環境、⑤感染症への対応を掲げている。
 ③については、先行して23年11月に完成した放射線治療棟(RC造り平屋建て約600㎡)にTrueBeam(高精度放射線治療システム)や東館の手術室にダビンチを導入したほか、中央診療棟4階の既存内視鏡センターの拡充を予定している。
 ④については、例えば病棟においては、各階の2病棟の各SSの三方に病室を配置し、スタッフの病室の見通しを確保し、また、患者動線となる廊下と、2つのSSを結ぶスタッフ通路を確保するとともに、カンファレンスや休憩スペースとなるスタッフラウンジを1か所設けた。小児病棟の病室扉などに画家が描いた動物の絵などホスピタルアートを施した。病室やデイルームは広い面積の窓を採用し、ワイドな眺望を確保し開放感を高めた。
 ⑤については、例えば、2階救命救急センター(ER)に陰圧診察室2室、陰圧初療室1室、8階呼吸器内科病棟に感染症個室2室などを配置し、感染対策を施した手術室も確保している。
 効率化のためエアシューターを設置したほか、ユニークな取り組みとして川崎重工業製の屋内配送用サービスロボットFORRO(フォーロ)を導入した。これは、広範囲における安定した自立走行が可能で、荷室(幅44×奥行29.5×高さ65cmメートル)は約100リットル/最大30kgの積載が可能で、自動施錠とICカードによる解除が可能である。エレベーターでの相乗りが可能で、混雑時の乗車見送り機能を備え、ベッドなどを優先する際の途中階での下車も可能である。

❍東館はSRC9階建て延べ2.8万㎡、医療機能は2階以上に配置
 完成した東館は、鉄骨鉄筋コンクリート9階建て延べ2万8221㎡の規模で建設され、高度急性期機能(救急外来、手術室、救急病棟、血管撮影室など)をそれぞれ拡張しながら集約し、運営の効率化を図った。東館へは、本館1階の救急外来、4階の手術室、南館4階の救急病棟、中央診療棟1階の血管撮影室、3階の人工透析などを移設した。
 大規模地震においては、水位1.5mと想定する津波対策として、1階には医療機能を配置せず、交流プラザ、コンビニ(ファミリーマート)、喫茶店(ドトールコーヒー)、給食部門、霊安室などを配置した。また、想定津波水位に浸らない高い位置に「柱頭免震」構造を採用している。各フロアの詳細は次号で紹介するが、2階に救急外来、画像診断、薬剤、中材、3階に救急病棟、ICU、HCU、透析、4階に血管撮影、手術、5階に分娩、病棟、6~8階に病棟、9階(塔屋)に機械室、屋上にヘリポートを配置した。

病棟デイルーム

❍救急車は2階救急ヤードに横付け、屋上にヘリポート設置
 救急車はスロープ棟を通り2階の救急ヤードに横付けする。また、2~4階は「救急専用エレベーター」で、屋上ヘリポートから地上2階までは「水害対策エレベーター」で結ぶ。両エレベーターは津波対策のため地上1階には着床しない。これら以外に1~8階を結ぶ一般のエレベーター8基を設置している。スロープ棟の3~4階部分には受変電室を設けた。

屋上ヘリポート


 内覧会当日はよく晴れ渡り、屋上ヘリポートや病室から遠く雪化粧した雄大な御岳山や白山の山容を眺めることができた。

 JCHO中京病院(名古屋市南区三条1-1-10)で26年1月1日から稼働した新棟東館(9階建て延べ2万8221㎡、以下東館)の各フロアをみると、2階は救命救急センターERと救急患者の検査用画像診断機能を配置している。ERは、救急前室、初療室1~5(1は一般撮影室兼用)、診察室1~4(4は感染対応の陰陽圧個室)、当直室1~2、スタッフ室、中央に救急専用エレベーター(EV09、2~4階、以下エレベーターはEV)、DS/PS1、救急外来受付、当直室1~3、器材庫1~2、救急待合、DMAT倉庫などで構成し、隣接して感染待合、中央監視室(防災センター)、当直室4、EV10(2~3階)などを配置した。

初療室

初療室内部


❍画像診断はMRI/CT/X線TV/一般撮影
 画像診断部門には、MRI、一般撮影、CT、Ⅹ線TV、放射線診断待合、医師控室、器材庫3、カートプール、カンファレンス室兼病棟業務室などを配置し、隣接してAC1/DS/PS2、災害防災センター救急救命室、麻薬管理室、EVホール、EV01~08(1~8階)などを、また、スロープ棟部分には医療ガス機械室1~3、メンテナンスバルコニー1~2、衛生機械室などを配置した。

ER内の設備1

ER内の設備2

ER内のCT


❍3階に救命病棟、ICU、透析を配置
 3階は救命病棟、ICU、血液浄化センターで構成する。救命病棟にはEHCU20床(4床室1~3、1床室1~8(6は脳波測定、7と8は感染症対応の陰陽圧個室)、EICU8床(1床室1~4、熱傷用個室4室)の計28床を導入し、ほかに、救急病棟SS(当直室1~2、スタッフ室1、カンファ兼モニタリング室、DS/PS、EPSなど)、AC1、救急ICU器材庫1~2、説明室2、介助シャワー室などを配置している。

重症病床

重症病床個室


 GICU部門には23床を導入した。うち小児心臓エリアには、ICU1床室6床やSS2、モニタリング室、リネン室、授乳室、沐浴室、当直室4、仮眠室3、器材庫2などを設けた。残る17床は、ICU1床室で確保、このうち11床はオープン病床、6床は個室(うち1室は感染症対応の陰陽圧個室)。付帯してICU前室、SS1、モニタリング室、ICU準備室1~2、ICU器材庫1~2、ICUカンファレンス室、スタッフ室2、当直室3などを備える。
 血液浄化センターは、透析室、透析機械室、HD処置室、FD処置室、透析器材庫、説明室、CKD指導室、SS、スタッフ室4、倉庫などで構成する。透析ユニットは、従来の26床から16床へと削減するものの、対応できる患者数は減らさないとしており、さらに、透析ユニットを移動することで、同じフロアの救急病床患者の透析にも対応する。

血液浄化センター


 ほかに、EV01~08(1~8階)、救急専用エレベーター(EV09、2~4階)、EV10(2~3階)、AC2、家族控えスペース2か所、DS/PS1、EPS1、説明室などを備えている。

ハイブリッド手術室

手術室内

血管撮影室


❍ハイブリッドなど手術室15室と血管撮影室
 4階は手術部門と血管撮影室で構成する。手術室は15室(うちBCR1室)を設置しており、内訳は、小手術室(5.2×7m=36.4㎡)7室、中手術室(6.9×7m=48.3㎡)3室、大手術室(8×7m=56㎡)2室、特大手術室(9×7m=63㎡)2室、ハイブリッド手術室(11.3×7m=79.1㎡)1室。ハイブリッド手術室はシーメンス社のARTIS pheno EXを導入しており、カテーテル室としても活用する。付帯して、説明室1~2、DS/PS1~2、EPS1~2、手術前室、前室1~2、BCR前室、ハイブリッド手術前室、手術室AC、PACU、切出室、回収室、器材コーナー、配盤、器材庫4、SS、ME機械管理室、麻酔科医控室、カンファ、スタッフ室1、男女各更衣室、仮眠室1~2などで構成。血管撮影室はDSA1~3の3室で、うち2はG対応、救急対応となっており、ほかにCPU1~3、操作室も置いている。エレベーターはEV01~08(1~8階)と救急専用エレベーター(EV09、2~4階)。
❍5階に小児病棟と女性・産科病棟計85床、内壁に子供向けアート
 5階は、2病棟計85床とし、1病棟を小児病棟(5A病棟)、もう1病棟を女性・産科病棟(5B病棟)で構成する。5B病棟内にLDR2室を中心に分娩部門を配置した。5A病棟は子供向けのアートが施され、また、プレイルームを設置している。この5階85床と合せ、5~8階に計349床の病床を導入している。

小児病棟のアート作品

小児病棟のプレイルーム

小児病棟4床病室

小児病棟個室病室

女性・産科病棟4床病室


 新棟東館などの基本・実施設計、工事監理業務は久米設計、工事コンストラクション・マネジメント(CM)業務および新病院建替計画設計者選定支援業務はプラスPM、地盤調査を東京ソイルリサーチ、ヘリポートコンサルタント業務はジオプラン、医療機器・什器等コンサルティング業務は、シップヘルスケアリサーチ&コンサルティング。
 なお、中京病院では、1989年9月に本館(南棟)、93年4月に本館(北棟)がそれぞれ完成。その後、看護婦宿舎、看護学校の新築を行い、97年には、老人保健施設あゆちの郷(RC一部SRC造り4階建て延べ4989㎡、ショート含め100床、デイケア1日30人)が完成、2001年12月に中央診療棟・講堂(体育館)・ヘリポートが完成、02年12月に南館が完成した。
 今回の新棟東館の完成に合わせ、南館、本館、中央診療棟から高度急性期機能を新棟東館に移設し、本館、中央診療棟は改修、南館は解体する。病床は、新棟東館に400床、残る180床を本館に配置した。

❍将来的に外来部門や一部病棟で構成する西館建設
 改修後の本館は、1階が健診、画像診断、2~3階が外来、4階が内視鏡・SMI、5階と8階が病棟、6階が更衣室、7階が当直室・医局となる。新棟東館と2階、3階、4階の2本のブリッジ(患者専用およびスタッフ専用各1本)で接続した。中央診療棟は1階が画像診断、2階が検査、3階がリハビリ、化学療法、4~8階が管理部門となる。
 将来的には、本館、中央診療棟に代わる、外来部門や一部病棟で構成する西館を建設し、新棟東館、放射線治療棟との3棟に病院機能を集約する構想である。(了)